こうへいブログ  

京都観光案内 それをわかりやすく伝えるために奮闘する文章研究の日々

三千院   見どころはやはり往生極楽院! 巨大な阿弥陀さまが目の前に現れる

苔の庭 杉木立の中に建つお堂

三千院の御殿門をくぐると、まず最初に拝観するのは寝殿です。

その寝殿から往生極楽院のほうを眺めると、一面に苔の庭が広がっていて、音が吸い込まれたような静寂の景色に、思わず目を奪われてしまうのです。

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 いまにも立ち上がりそうな仏像

そして、往生極楽院の中に入ると、あっと驚かされます。

外からは想像出来ないような大きな阿弥陀如来坐像が、こちらに向かって迫ってくるように安置されているからです。

阿弥陀さまの頭は、天井にぎりぎりつかえそうになっています。

天井は船底を逆さにした形になっていて、小さなお堂に大きな阿弥陀さまを入れる為に、後から修復されました。

堂内の天井やランマは、歴史を感じさせるようにかなり黒ずんでいて、菩薩像や飛天のすがたが描かれていたのですが、剥落が進んでいて、今は判別することは出来ません。

でも境内にある宝物館では、創建当時の往生極楽院の内装が再現されています。

青が強調された、まさに浄土を再現するような極彩色の空間を、宝物館ではじっくり堪能することが出来るんですね。

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迫力の阿弥陀如来坐像の両脇には観音菩薩と勢至菩薩が安置されています。

金色に輝くこの三体は「来迎の弥陀」と呼ばれていて、日本の美術史上で特に有名なものなんですね。

なんといってもお堂が小さいので、前に立つと三体の仏像との距離が非常に近く感じることができます。

他のお寺だと、仏像が立ち位置からかなり奥にあったり小さくてよく見えない所もあります。

でも、極楽往生院の阿弥陀三体は、手をのばせば触れられそうなところから、その迫力の姿に間近で対面できる、それが人気の秘訣ではないでしょうか。

すぐに立てる座りかた

そして、この観音菩薩と勢至菩薩の座りかたに特徴があります。

この座りかたは大和座りと呼ばれていて、純日本風の座りかたと言われています。

その坐像は、今まさに立ち上がろうとする瞬間を再現したかのように、前かがみの独特の姿勢をとっているのです。

仏像の座り方といえば、あぐらをかくように足を組んで、左右の足の甲をももの上にのせる結跏趺坐(けっかふざ)が代表的です。

これはインドから中国を経由して入ってきた座りかたなんですね。

結跏趺坐の場合、まず足をくずして座り直してから立ち上がることになり時間がかかってしまいます。

そこで、出来るだけ早く迎えに来てほしいという人々の願望から、大和座りをしためずらしい仏像が誕生しました。

まさに、平安時代末期に造られたという貴重な仏像であるがゆえに、今、私たちがこの目で捉えることの出来る、他に類を見ない仏像の姿なんですね。

 

大原には平安時代中期に、往生極楽院・勝林院・来迎院という三院がつくられて人々が多く集まり、この三院の周囲に庵を結んでいました。

そして、明治29年に往生極楽院が、三千院の境内に本堂として移築されました(現在は宸殿が本堂です)

もちろん、勝林院・来迎院も素晴らしい歴史遺産なのですが、念仏の里である大原のシンボルといえば、やはり往生極楽院だと、いまも言われ続けているんですね。

 

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